育休が明け職場復帰後しばらく経ち、予定では調子を取り戻し軌道に乗り始めているはずだったのに……。思いもしなかったこと、思うようにならないことの連続ですっかり落ち込んでいる自分の気持ちを立て直し、大変な時期を乗り越えていく方策を考えてみましょう。

低空飛行のその理由は?に向き合ってみる

育休を終えて職場に復帰してみて、もしかすると凹んでいませんか?肉体的にハードな毎日に心が折れそうになっているだけでしょうか?

もしそれだけではないように感じているなら、なぜこれほどまでに打ちのめされてしまっているのか、その理由を客観的に整理してみる必要があるかもしれません。

以前はできていたことができなくなっていて自信喪失気味

職場に「復帰」するのだから当然以前と同じように仕事をこなすつもりが、とにかくモタつく、手際よくできない。そんな自分を不甲斐なく感じ、自信を失いかけていませんか?

まさかこんなに休むことになるとは予想していなかった

子どもの発熱で復帰早々に3日間、その次の週には1週間休むことに――そんなことは珍しくありません。

分かっていたつもりでも、まさかここまでとは……!と驚き、中断してばかりの仕事とみるみる減っていく有給休暇日数とに切羽詰まっていませんか?

同僚たちとの間に距離を感じてツラい

仕事はチームワーク。キツい時期があっても皆で頑張れた。そう、同僚は時に戦友のような存在だったはず。

でも、復帰後の自分はといえば、子どもが熱を出せば休む、残業もできない。要するにあてにならず、いざという時の戦力にもなれない。

仕方のないこととはいえ、同僚たちにとってもはや「戦友」ではなくなっているであろう自分の立場を苦しく感じていませんか?

「もう無理かも……」と思ったときの処方箋

努力しようにも制約だらけという八方ふさがりの状況なのが育休明け。心身ともに無理を強いる日々を続けていることもあいまって、心理的に追い詰められてしまう場合も。

一度立ち止まって、現状を俯瞰してみましょう。

能力が落ちたわけじゃない、モードが切り替わっているだけ

手際よく進められずにいるその仕事は、産休前には確かにてきぱきとこなせていたことのはず。

つまり、今苦戦しているのは、あなたの能力が不足しているからでも、仕事が難し過ぎるからでもありません。

ただ単に「育児モードから仕事モードへの切り替え中だから」というだけのこと。

仕事に限らず、しばらく離れていれば思い出すのに時間がかかったり、感覚を取り戻すのに手間取ったりするのは当たり前です。

この状態が、あなたの精一杯、子どもの精一杯

大人がそうであるように、子どもも一人一人違います。

上の子は手がかからなかったのに下の子はぐずってばかり、他の子は3日で治る病気なのにこの子は4日かかるといった個人差は当然にあるのです。

親であるあなたが必死で頑張っているように、子どももまた大きく変わった日常に適応しようと全力で頑張っています。

今のこの現実があなたの精一杯であり、子どもの精一杯。そう受け入れることで、あなたの気持ちは少し楽になるかもしれませんよ。

チームには後方部隊も必要

どんな集団にも補給部隊や整備係は必要。全員が最前線に立てば破綻します。

そうであるなら、しばらく後方支援に回る時期があってもよいのではないでしょうか?

自分が一番大変な思いをしていると感じているのは誰しも同じ。

あなたが担当しているのがたとえ後方支援的な業務ではなくても、明らかに部署内でもっとも高負荷な業務を受け持っていたとしても、おそらくそれは変わりません。

純粋に互いを認め合えるのは、その仕事の内容ではなく仕事ぶり、言い換えれば「仕事への意気込み」によってのみなのです。

後方支援を誠実に、全力で行ないましょう。

今と未来のために、まずはアクション!

焦りや落ち込みにどっぷり浸かっていると、負のスパイラルに陥りかねません。考えても仕方のない部分はさっさと手放し、考える代わりにアクションを起こしましょう……!

何でも屋になる

時短勤務や突発的な休みの多さから大きな仕事を任せてもらえない状況は、あなたにとっては不満でも、職場全体から見れば当然取るべき戦略です。

近い将来、あなたがフルタイム勤務に戻り、子どもに体力がついてそこまで頻繁に休まなくなる日まで、ここは割り切って細かな仕事を一手に引き受けてみませんか?

雑多な業務にいちいち遮られて、最重要のメイン業務がはかどらないというもどかしさを経験したことがあるのでは?

今そんなもどかしさを感じている誰かの力になれるなら、それはおおいに意味のあることではないでしょうか。

部署内では古株の部類でそれなりのお給料をもらっているのに、新人のような仕事をしていては申し訳ないと思うかもしれません。

ですが、できることを片っ端からするという姿勢は「役に立てることがあればいつでも積極的に動く」ことのアピールともなります。

この先少しでも余裕が生まれれば、その余裕を見過ごすことなく仕事上での成長につなげていくという意欲を何でも屋業で示しましょう。

「心苦しい」「肩身が狭い」よりも「ありがとう」「感謝!」で

きちんと成果を出しているとしても、あなたが物理的に対応できない分をカバーしてくれている人は必ずいるはず。

でも、それをただ申し訳なさがっているのは建設的ではありません。

心苦しさは感謝へと変換です!

申し訳ないと謝り過ぎればかえって迷惑でしょうが、感謝されて嫌な思いをする人はいないのですから、存分に感謝の気持ちを表しましょう。

「迷惑そうにしないでいてくれる人」に報いよう

残念ながら、露骨に迷惑そうな顔をする人はどの職場にもきっといます。

ですが、そんな刺すような視線に胸が痛むときこそ思い出してください。迷惑を被っているに違いないのに、顔や態度に一切出さないでいてくれる人たちもたくさんいるということを。

迷惑そうな顔をしないという目立たない形であなたを応援してくれているそんな人たちにこそ報いましょう!

不本意な状況であっても腐ったりせずに全力を尽くしている姿は「ありがとう!この借りは必ずお返しします!」という気持ちを何より雄弁に語ってくれるはずです。

職場に復帰するって、きっとこういうこと!

職場復帰は大仕事。ですが同時に「あなたのキャリアとって必要な変換点」でもあるのではないでしょうか。

自分を強制リセットする機会

なかなか片付けられなかった家の中も、引っ越すとなれば片付けないわけにはいきません。

それと同じように、育休明けは新しい働き方へのシフトを自分に強制する機会といえます。

「仕事が追いつかなければ時間を提供すればいい」という考え方が通用しなくなる育休明けは、あなたのビジネススキルの本質をリセットしてさらに高めるチャンスでもあるはず。

異次元レベルのスペック増強チャンス

復帰後の仕事では、ベストが何かは分かっていても現実問題として次善、三善を選ばざるを得ないということが増えるでしょう。

そんな状況では、ゼロか100かという考え方は無意味。プランAがダメなら素早くプランBに切り替えてロスを最小限に抑えるというビジネスに必要不可欠な思考が身につきます。

また、時間的な融通がきかない上に急な休みなども予想されるだけに、スムーズに仕事を進めるには周囲との情報共有や連携が欠かせません。

ビジネスにおける強力な武器であるコミュニケーション能力も否応なしにアップするでしょう。

後から振り返れば、育休明けはステップアップのとき

自分の意思がまったく反映されずに決定される事項で埋め尽くされる。そんな生活がスタートするのが出産というイベントです。

それを経て職場に復帰するのですから、自分ではコントロールできない要素や事態に山ほど直面して振り回されるのが復帰後の日々。

でも、だからこそ自分の軸をしっかり持てるようにもなるはずです。

育休明け後しばらくは、一つずつ迷いを消していきながら揺らがない自分へとステップアップしていく期間なのかもしれませんね。