「帰ってきたらまず手洗いだよね?」「このおもちゃはこっちの箱に片付けよう」「早くっ!もう保育園へ行く時間っ!」等々。
ガミガミ言ってもほとんど効果のないことはわかっていても、結局いつも叱りつけてしまっているというママやパパは多いのでは?
親も子供もフラストレーションの溜まる「何度言ってもダメ」を卒業して「言われなくてもできる」へステップアップする方法について考えてみましょう。
目次
1.「園ではとってもいい子」の理由から考える子供の自主性
保育参観などで保育園や幼稚園を訪れてみて、いちいち言われなくてもてきぱきとルーティンをこなす我が子の姿にがくぜんとした経験はないでしょうか?
園でなら必要なことを自主的に行なえるのはなぜ?
主な理由としては次のようなものが考えられそうです。
1. 義務を遊びに変換している
2. お友だちと一緒である
3. 家庭での甘えがない
甘えるのは安心できている証拠といえますし、家にいるときくらい好きにさせてほしいと思うことがあるのは大人だって同じですので、3については仕方のないところがありますよね。
でも、1と2については家庭でも応用可能なはずです。
2. 子供の自主性の芽は好奇心と達成感
すべきことについて園の先生方が説明する際に、子供たちが興味を持って受け止められるような話し方をしていると感じたことのある人は少なくないのではないでしょうか。
「帽子は壁のフックにかけなさい!」ではなく「みんなの帽子は壁にピシーッと一列に並んでるかな~?」と言われれば、それは子供にとって「全員の帽子をまっすぐに並べる遊び」になります。
つまり、前項で挙げた「1. 義務を遊びに変換している」です。
もちろん、内容によっては真剣に話して聞かせなくてはならないこともありますが、日常生活でのルールやマナーを子供に教える上でまず大切なのは習慣づけ。
習慣づけの入口が「なんだか楽しそう」という好奇心であっても、特に問題はないはずです。
子供を動かす大きな力が好奇心。
また、自分でできた!という達成感も次へとつながる原動力となりますので、好奇心と達成感とを上手に利用したいですね。
3. 子供の「やってみたい」を自主性につなげる工夫
子供の「やってみたい」という気持ちは、すべきことを言われなくてもするようになるための理想的なきっかけといえます。
やってみたいと思わせ、ひいては自主性を育てる工夫にはどういったものがあるでしょうか?
3-1. 靴置きマーク
言われなければ揃えないから毎回「脱いだ靴はちゃんと揃えようね」と言うことになって、正直もう言うのに疲れた……と、うんざりしていませんか?
街では列のできる場所などに足型マークを見かけます。
確かにあのマークがあれば、そこにその向きに立てばいいとすぐにわかりますよね。
それに、こういったマークがあると、ついピタリと立ったり置いたりしたくなるもの。
玄関にもその発想を活かし、ここにこの向きに並べればいいとわかる靴置きマークを示しましょう。
実はこういった工夫は園や学校などでは既にお馴染みで、たとえば教室の床に机の脚の位置を示す丸がテープで描かれていたりします。
この足型のマークは十分手作り可能ですが、ステッカータイプの専用シートも市販されています。
学研ステイフル OURHOME おかたづけ育 靴おきマーク ブルー AM08062
3-2. 自動で泡が出てくるタイプのハンドソープ
「おうちに帰ったらまず手洗い!」と言い続けているなら、洗面所のハンドソープを、センサーで感知して自動で泡が出てくるタイプのものにしてみましょう。
手をかざすだけで勝手に泡が出てくるのですから、子供にとっては一種のおもちゃのようなもの。
(そのため、しばらくの間は必要もないのに泡を出しまくって遊ぶことが懸念されますが……)
その辺りはメーカー側も心得たもので、人気キャラクターとのコラボモデルも展開されています。
3-3. 歯磨きアプリ
きちんと身につけさせたい歯磨きの習慣ですが、「そもそも歯磨き自体を嫌がる」「自分で磨かせると2秒で終了する」といったような悩みが絶えないのが実情です。
そんな悩みを解消してくれそうなのが、歯磨きアプリです。
磨き方のレクチャーがあるタイプ、音楽が流れてタイマー代わりとなるタイプなど、歯磨きアプリには各種ありますが、おすすめはゲームタイプ。(下記リンク参照)
https://app.litalico.com/brushinghero/jp.html
スマホやタブレットのカメラ機能を利用して、子供自身を兜をかぶった勇者として映し出し、歯を磨くことでモンスターを攻撃するというもの。
楽しんで歯磨きできそうというだけでなく、さまざまな角度で磨くほどモンスターに攻撃が加わる仕組みになっているので、丁寧に磨く習慣にもつながりそうです。
3-4. やることボート
何かと慌ただしい朝の時間帯。
大人であれば一連のルーティンとして流れ作業的に進められる朝の身支度ですが、段取りを考えるために必要な時間の観念が未発達の子供にとっては簡単ではありません。
そこで活用したいのが「やることボード」です。
トイレ、着替え、朝食などのタスクの数だけマグネットを用意して、完了したタスクに対応するマグネットを裏返したり移動させたりします。
早く全タスクをクリアしたいという気持ちを刺激するゲーム感覚の、いわば子供版ToDoリスト。
「お支度ボード」と呼ばれることも多いですが、「帰宅してからやることボード」としても、「寝る前の準備ボード」としてももちろん活用可能です。
ホワイトボードやマグネットシートを買ってきて自作できますが、時間をかけられないという場合は市販品もありますよ。
学研ステイフル OURHOME できたよマグネット グレー G15011
サンスター文具 アンパンマン おしたくボード 1160010A
3-5. 入れるべきものがわかるおもちゃ箱
「ざっくり」が基本のおもちゃ収納。
小さな子供でもアクセスしやすい蓋なしの箱を並べておもちゃ収納をしているというご家庭も多いのではないでしょうか。
でも、いくらざっくりとはいえ「積み木はこの箱に」といった最低限の区分は必要となってきますよね。
大人であればテプラで印字したテープでも貼っておけば済みますが、子供の場合は文字だけではイメージしづらく情報が頭に入ってこない可能性があります。
イラストを添えるのも一つの方法ですが、おもちゃそのものを撮った写真を貼っておけば間違えようがありません。
実際に片付けというアクションを子供自身が起こすかどうかはまた別問題ですが、少なくとも片付ける場所を都度教える必要はなくなるはずです。
4. 時間管理は「イメージできる」を目指す
ある程度の年齢に達していないと持てないといわれる時間の概念ですが、日常生活において時間を意識しなくてはならない場面はどうしても出てきます。
子供が時間をイメージすることができれば、ピリピリすることも減らせそう。
そのためにはどういった方法があるでしょうか?
4-1. 残り時間がわかるタイマーを利用する
そろそろ出発の時間というときや、10分間はピアノの練習をするというときなど。
親として望むのは「あと5分」というのを理解してほしいということではなく、「残り時間が少ないからゆっくりはしていられない」「あともう少しで終わりそう」という感覚をイメージしてくれたらということではないでしょうか?
そんなシーンで役立ちそうなのが、残り時間を目で見て感覚的に把握できるタイプのタイマーです。
青に切り替わるまでの時間を砂時計風に表示する信号機に通じるものがありますね。
タイマー,Yunbaoit 60分タイマー, 60分 時間管理 プレゼン ベルの音です (機械発条式-19cm)
4-2. 目標時間を設定してゲーム感覚で
急ぐべきではないシーンもありますが、お風呂上がりになかなかパジャマを着ようとしない子供を促すときなどによさそうなのが、目標時間を設定したゲームとしての演出です。
兄弟姉妹がいれば、共同作業や(危なくない限り)競争仕立てにしても。
最初の項で挙げた「2. お友だちと一緒である」の応用ですね。
特に、競争大好きな男の子には効果が期待できます。
「長い針がてっぺんに来るまでに着られるかな?」といったようにゴールを決めてチャレンジするこの方法は、あくまで親の都合による方便。
それでも、急かして怒ってという親子ともにストレスの多いやり方よりもずっと穏便なことは確かです。
5. 楽しく取り組める工夫で「怒ってばかり」をやめられる!
毎日言っているのだから、そろそろ言われなくても自分からできるようになってほしいし……と、余裕のない朝や疲労困憊の仕事帰りなどには痛切に思うもの。
ご紹介したアイデアのいくつかは筆者も実践済みですが、結局のところ1回うまくいったから以後は完璧というわけではなく、どういった手段を使ったところで根気勝負の長期戦であることに変わりはありません。
でもだからこそ、こうした工夫で「怒ってばかり」をやめられたなら、長い目で見れば「子供との思い出」の質が変わりさえするのではないでしょうか。