子供のいる共働き家庭は、仕事・家事・育児に大忙し。忙しいママが毎日を笑顔で暮らす秘訣は、がんばりすぎないことです。手が回らないときは、迷わず家事を外注してしまいましょう。本記事では、初めて家事代行を利用する方のために、家事を外注する4つの方法とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

1. 家事を外注する方法

家事の外注には、主に次のような方法があります。それぞれの手順とメリット・デメリットをよく検討し、自分にいちばん合うと思うものを選んでくださいね。

1-1. シルバー人材センターに依頼する

シルバー人材センターとは、「高年齢者が働くことを通じて生きがいを得ると共に、地域社会の活性化に貢献する組織」で、原則60歳以上の高年齢者が会員として登録しています(公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会ウェブサイトより)。
シルバー人材センターは原則的に市(区)町村におかれています。対応できる仕事はセンターごとに異なりますが、掃除、洗濯、留守番などの家事サービスや子守り、送迎などの育児サービスに対応しているセンターもあります。

企業や公共団体などのほか、一般家庭もセンターに仕事を発注することができます。シルバー人材センターに家事を依頼する際は、まず自分の住んでいる市(区)町村のセンターに電話やFAX、インターネット(「シルバーしごとネット」)から申し込みをします。依頼したい仕事内容や条件などを伝えると、センターが適任の会員を選びます。依頼者は会員個人ではなくセンターと、請負もしくは委任契約を結びます。

1-1-1. シルバー人材センターのメリット

低価格で利用できる
シルバー人材センターは営利企業ではなく公益法人のため、収益を目的としていません。そのため価格は民間の家事代行会社よりはるかに安く設定されています。たとえば東京都渋谷区シルバー人材センターの場合、家事援助サービスは2時間単位で1時間あたり1080円~プラス交通費実費という価格設定です。継続して利用する場合を考えると、負担にならない価格はやはり大きな強みです。

アットホームな雰囲気
シルバー人材センターの会員には、子供や孫の育児経験があり子供の扱いに慣れているという人も。子供がいる家庭なら、おじいちゃんおばあちゃんのような感覚で接することができるかもしれません。子供の扱いに慣れた人なら、より安心して家事を任せられますね。

1-1-2. シルバー人材センターのデメリット

サービスの質・範囲には限界も
会員は高年齢なため、危険な作業や負担の重い作業は依頼できません。また、会員はあくまで家事のスキルはあるというだけなので、プロのようなレベルの高さまでは期待できません。たとえば掃除を依頼した場合も、「自分でやったほうがキレイになる?」という結果になる可能性も。

サービス時には在宅の必要がある
家事代行を頼んだ場合は、作業の間は依頼者も在宅する必要があります。留守中に鍵を預けて作業を済ませておいてもらうということができないので、特に共働き家庭には使いづらい面も。

サービス開始まで待たされる可能性も
自宅のある地域のセンターに依頼するのが基本です。依頼内容に対して適性のある会員がそのセンターにいない場合や数が足りない場合は、サービス開始まで長く待たされることもあります。

1-2. ファミリーサポートセンターに依頼する

ファミリーサポートセンターとは、「乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けることを希望する者と当該援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整を行う」ものです(厚生労働省ウェブサイトより)。主に子供の送迎や緊急時の預かり、病児や病後児の預かりなどに対応しています。

利用の手順は自治体によって多少異なりますが、サポートを頼みたい人とサポートをしたい人がファミリーサポートセンターに会員登録し、登録面接や講習会を受けた後、センターが会員同士のマッチングをするというのが基本の流れになります。事前打ち合わせや面談を経て、問題がなければ正式に依頼します。

1-2-1. ファミリーサポートセンターのメリット

低価格で利用できる
利用料金は自治体ごとに設定されていますが、たとえば神奈川県小田原市ファミリーサポートセンターの場合、利用料金は月~金曜日の7時~19時までで30分350円、土日祝及び年末年始と7時~19時以外の時間帯で30分450円となっています。頻繫に利用しても負担にならない金額と言えるでしょう。

1-2-2. ファミリーサポートセンターのデメリット

家事支援は行っていないことも
サポート内容は各自治体によって異なります。送迎や預かりなど子育て援助のみで、家事支援は依頼できないところもあるので注意が必要です。また、家事支援に対応しているところでも、産前産後のみなど条件が限定されている場合があります。

サービス開始まで待たされる可能性も
多くの自治体では、サポートを提供する会員より、サポートを受けたい会員のほうが圧倒的に多い傾向にあるようです。そのため、なかなか適任者を確保できず、サービスを受けたいときに受けられない可能性もあります。

1-3. 家政婦さんを雇う

家政婦さんを探す際は、家政婦紹介所で紹介してもらうのが一般的です。まず依頼者が頼みたい仕事内容や雇用予定期間、勤務の曜日・時間、勤務形態(住み込みか通勤)などの希望を紹介所に伝えると、紹介所が登録家政婦の中から適任者を選び、紹介書を発行します。紹介書を持参した家政婦が勤務先に来て作業を行うという形になります。
家政婦さんの賃金は基本的に日給制で、依頼したらそのつど支払います。

参考までに、都内のある家政婦紹介所の料金体系をご紹介します。家事一般の手伝いの場合、通勤で2時間就労した場合の賃金は1時間1800円~となっています。これに、交通費、紹介手数料(賃金総額に対して11.0%)、受付手数料(申し込み1件につき690円)がかかります。

1-3-1. 家政婦さんを雇うメリット

安定して依頼できる
シルバー人材センターなどの場合は、派遣する会員をセンター側が選定するため、来てもらいたい人を指名することはできません。また、適任者がいない場合や条件面が合わない場合はそもそもサービスを受けられません。

家政婦さんの場合、紹介所によっては、一度来てもらった人にまた来てもらいたい場合は指名することができます(指名料が発生する場合も)。また、鍵を預けることができるため、不在時に作業してもらうことが可能。家庭環境やライフスタイルに応じて家事をサポートしてもらえるので、依頼者にとってより利便性が高いと言えます。

1-3-2. 家政婦さんを雇うデメリット

料金が高い
シルバー人材センターやファミリーサポートセンターのような公益目的の社団法人とは異なり、家政婦紹介所は民間の営利企業です。利用料金には会社側の収益が上乗せされるため、より高額になります。

1-4. 家事代行に依頼する

近年、共働き家庭や仕事の忙しい単身者家庭などで人気が高まっているのが家事代行サービスです。家事代行サービスは掃除や料理など家事全般を行うサービスで、依頼内容や希望日時などにきめ細かく対応してもらえる柔軟性の高さと手軽さが特長です。

家事代行サービスには、マッチング型と雇用派遣型の2種類があります。

1-4-1. マッチング型

アプリやインターネット上で、家事代行サービスを受けたい人と提供したい人をマッチングし、双方が合意すればお仕事スタートとなります。

1-4-1-1. マッチング型のメリット

料金が比較的安い
個人同士が直接取引するため、中間マージンが発生しません。そのため、比較的リーズナブルに利用できます。料金はサービスを提供する側が設定するので幅がありますが、おおむね1時間1500円~という場合が多いようです。

1-4-1-2. マッチング型のデメリット

交渉は個人間で行わなければならない
マッチングサービスを運営する会社はあくまで依頼者と提供者を結びつけるプラットフォームという位置づけなので、交渉等は個人間で行う必要があります。スタッフへの苦情や要求事項がある場合も自分で伝えなければなりません。万一トラブルになった際も、原則的に運営会社は介入しないことに注意してください。

当たり外れがある
マッチング型の場合、スタッフは運営会社に雇用されているわけではないため、研修などはほとんど行われないところもあるようです。そのため一般的に、家事スキルはスタッフによりバラつきがあります。

1-4-2. 雇用派遣型

家事代行サービスを提供する会社がスタッフを雇用し、依頼者の要望に応じて派遣するのが雇用派遣型です。契約は依頼者とスタッフ間ではなく、依頼者と会社の間で交わされます。料金は、たとえば業界大手の会社の場合、1回からのスポットサービスで1時間4000円×基本時間3時間+消費税という設定です。

1-4-2-1. 雇用派遣型のメリット

研修体制が充実
会社はサービスの質に責任を持つので、スタッフを派遣する際は事前にしっかりとした研修が行われます。研修により質の良いサービスが均一に提供されるため、スタッフの当たり外れという問題は起こりにくいのが強みです。

要望等を第三者を介して伝えられる
サービス提供会社の担当者がスタッフと依頼者の間に入ります。スタッフに「ここはもっとこうしてほしい」という要望がある場合や「別のスタッフに替わってほしい」という場合なども第三者を介して伝えられるので、気持ちの上でも楽です。

1-4-2-2. 雇用派遣型のデメリット

料金が高め
派遣会社が間に入る分、料金は上がります。ただ、お得な各種プランが用意されていることがあるので、上手に利用してください。メリット面も考えれば、総合的なコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

2. まとめ

妻も夫も仕事で忙しい場合、「夫ももっと家事をするべき」「妻はもっと効率的に動くべき」といった議論は不毛です。夫も妻も、時間や体力といったリソースには限りがあるのです。もう上限ギリギリと感じたら、家事を外部の力に頼るという選択肢をぜひ考えてみてくださいね。