育児休暇もそろそろ終了、職場復帰を控えてまず気にかかるのは、仕事と家事・育児の両立ではないでしょうか。
でも実際には、両立云々を考えるその前の段階をいかに上手に乗り越えるかが重要!
見逃されがちな「両立以前に対処すべき問題」に目を向け、一度考えてみましょう。
目次
思っていたのと違う!職場復帰のリアルとは?
復帰するといっても、元通りの環境に以前通りの自分が戻るというわけではないことが実は大半。育休前後の変化をイメージできていないとショックを受けてしまうかも……。
1年前後も経てば、システム、仕事の進め方のルールや方針など、いろいろ変わっていても不思議はありません。
ここって元の職場?ルール・システム・人が変わっている
同じ部署に戻ったとしても異動で周囲が知らない人ばかりになっているかもしれませんし、メンバーは同じでも業務量が増えたことにより職場全体に余裕がなくなり雰囲気が一変しているという事態もあり得ます。
育休というブランクを経て復帰するのですから、あるいは浦島状態という可能性もあるという一定の覚悟は必要です。
もたつく自分に愕然!手際の良さが大幅減
何事もブランクがあれば一時的にであれ作業効率は落ちるもの。
しかも子どもに合わせたペースでの生活が続いた後ですから、仕事のスピード感覚が身体から抜けてしまっています。
結果として、いわゆる「育休ボケ」といわれる状態に陥るのがごく普通。
しばらく動かしていなかった筋肉をスムーズに動かすためには、まず準備体操やリハビリが必要なのであって、それは“仕事筋”も例外ではないということを頭に置いておきましょう。
毎朝トラブル勃発!時間通りに動けない
急いで朝食準備したのにひと口も食べようとしない。
自ら靴を履くと言い張って、片足5分、計10分。
今朝に限って保育園の門の手前で猛抵抗……。
それでなくても朝は戦争状態なのに、必ずといってよいほど何かしら事件が起きるもの。
手間と時間のかかることをいちいち親にしてみせるのが子どもの仕事のひとつなのだろうと観念するほかないのかもしれませんね。
ウソっ!また!?子どもの発熱で休んでばかり
個人差はありますが、子どもがまだごく小さいうち、特に保育園生活をスタートしたばかりのときは、何かと発熱することが多いものです。
子どもが熱を出した場合には父親の協力も不可欠であることを夫婦で事前に話し合っておく、病児保育施設の利用方法を確認しておくといった備えはした上で、あとはただ祈るばかり……。
育児は24時間営業?帰宅しても休めない
これも個人差がありますが、夜泣きがひどいような場合、親の(多くの場合母親の)睡眠時間が極端に短くなってしまうことも。
また、夜泣きなどの悩みはなくても、保育園からの帰宅した子どもがママにベッタリというケースは珍しくありません。
そうした場合ママ側は相手をするのに結構疲れるものですし、「家事のてきぱき度」はどうしても落ちるので時間もかかってしまいます。
日中は全力で頑張って夜は早めに休もうと計画しているとしても、それは必ずしも実現可能ではないのです。
育休明けは「マイナスからのスタート」が普通
復帰直後は、自分自身も家庭環境も、仕事をするという点では育休前よりも不自由で不利な状況といわざるを得ません。
ゼロどころかマイナスからのスタートが普通なのだという認識を持っておくことが、精神面でのある種の予防線になるでしょう。
生真面目な人、バリバリ仕事をしていた人ほど焦るもの
思うように仕事ができなければ、誰しもがっくり来ます。
とりわけ「育休前と同じお給料をもらっているのに申し訳ない」と感じてしまうような生真面目なタイプの人は、なんとかしなければと気持ち的に追い詰められがち。
また、バリバリ仕事をしていたような人の場合、いつのまにか自分が「仕事のできない人」になってしまっているという絶望感に襲われることも。
でも、効率が落ちているのは、今があなたの長いキャリアにおける端境期にあるから。
仕事ができなくなったと感じるのは、これまではほとんどの要素を合理的にコントロールできていたのが、子どもというコントロールできない要素が加わったことにまだ慣れていないから。
能力が衰えたということを意味してはいません。
仕事モードを忘れてしまっているのは当たり前
子育てと仕事では、次元や考え方がまったくというほど違いますし、求められるアプローチ方法も大きく異なります。
それだけに、子育てモードにどっぷりと浸かっていればいるほど、仕事モードを忘れるのは当然のことといえるでしょう。
またスピード感もほとんど真逆ですよね。
ゆっくりと歩いていた道が突然高速の「動く歩道」に変わったら、誰だってヨロけて転びかけるはず。
昨日までは100%育児モードだったのを、今日から仕事モードにスパッと切り替えられるような器用な人はまずいません。
スムーズに“合流”するためにできること
自宅でほとんどすべての時間を子ども相手に過ごしてきたあなたの目には、復帰した職場はまるで高速道路のように映るかもしれません。
ですが、一日も早く合流しなくちゃと無理をするのは禁物。まずはエンジンを温めましょう。
仕事と家事・育児の両立はしばらく考えない
仕事だけでいっぱいいっぱいな状態なのに両立を考える余裕などないはず。
考えるのは仕事の勘を取り戻してからにしましょう。
個人差や置かれた状況の違いにもよりますが、半年から1年程度すれば状況は落ち着いてくるという声が多いようです。
それまでは仕事も家事も、とにかく最低限のラインをクリアできればOKと割り切ることで、結果的には早めに勘を取り戻せるはずです。
家事は極限まで減らす
仕事・育児・家事のうちで自分の考えでカットすることが許されるのは基本的に家事だけ。
他の2つを自由にカットすることができない以上、家事の部分を徹底的に削りましょう。
家の中がぐちゃぐちゃでも、でき合いのお惣菜が多くても、命にかかわるわけではありません。
そういった状況をどうしても許容できないのであれば、家事代行を依頼するという手段も検討してみましょう。
「迷惑かけたくない」は不可能だという事実を受け入れる
忙しく働いている上司や同僚に迷惑をかけたくはないですよね。
でも、残念ながら、周囲にまったく迷惑をかけずにやっていくというのはまず無理です。
この先、たとえ仕事が終わっていなくてもお迎えの時間には退勤しなくてはなりませんし、子どもの発熱で会社を早退することもあれば、保育園行事や学校の面談で休みを取ることも出てくるのですから。
迷惑をかけずにいることが不可能ならば、それを気に病むよりも、むしろ迷惑をかけてしまう前提でいかに埋め合わせるかを考えるほうが建設的ではないでしょうか。
先輩ママとのコミュニケーションを密に
社内に先輩ママ(あるいは先輩パパ)がいるのであれば、積極的にコミュニケーションを取りましょう。
同じように頑張ってきた人の存在は、何よりも心の支えとなり、勇気を与えてくれるものです。
ピンチを切り抜ける具体的なコツなどを教えてもらえたらとてもありがたいですしね!
復帰直後に必要なのは、しなやかに頑張れる心
育休中に職場自体が移転して通勤時間が大幅に延びた筆者の場合、そもそも復帰するかどうかの問題が立ちはだかりました。ですが、復帰すると決めたらもう後ろは振り返りませんでした。そんな暇は働くママにはなかったから……!
考えても仕方ないことは考えない、その割り切りはあの頃身についたように思います。
働くママに必要とされるのは、がむしゃらな頑張りではなく、しなかやな頑張り。それは多分、これまで必要とされてきたものとは違う種類の頑張りではないでしょうか。 だからこそ、しなやかな心の持ち方で復帰直後という一番大変な時期を切り抜けた後には、きっと「今まで で最強の自分」に出会えるはずです。