苦手でも嫌いでも避けて通れない掃除。その苦痛が「きれいになった嬉しさ」をはるかに上回ると感じているなら、掃除のしかたを一度確認してみましょう。もしかすると基本を押さえ切れておらず必要以上に手間がかかってしまっているかもしれません。
本記事では、押さえておきたい掃除の知識・テクニックの基本をご紹介します。

1.道具の基本

世の中に掃除道具は数多くありますが、多用に使えるシンプルな道具を厳選して揃えておくのが基本です。最低限これがあればOKという道具は何でしょうか。

1-1.雑巾類

拭き掃除

食べこぼしであれホコリであれ、有無を言わさず拭い去ってくれるのはなんといっても雑巾や台拭きです。
ベトつきや水分だけでなく、ご飯粒や消しゴムのカス程度のちょっとした固形物なら最後にくるんで処理すればOK。ほとんどのシチュエーションにおいて「間に合う掃除道具」であるのが雑巾の類です。

元祖雑巾はやはり使いやすいですが、古着を適当な大きさにカットしたものや使い捨てのウェットシートなどでも十分。都度洗って乾かす手間がかからないので、省力化の観点からはむしろおすすめです。

1-2.掃除機

掃除機

たいていは雑巾で対応可能ですが、濡らすと厄介になる類の汚れや吸い取るしか方法がない箇所も確かにあります。まさに王道掃除道具ともいえる掃除機は、やはり備えておきたい掃除道具といえるでしょう。

いかにも大きく重たい掃除機は取り回しのしづらさと場取ることがネックでしたが、今ではすっかり一般的となったスリムなコードレスタイプであれば扱いやすく、収納場所も確保しやすいのではないでしょうか。

1-3.メラミンスポンジ

メラミンスポンジ

今や定番掃除道具といえるメラミンスポンジ。
水を含ませてこするだけという手軽さなのに、水垢、手垢、茶渋、油汚れ、土や砂の汚れなど、どんな汚れも落としてくれるマルチな活躍ぶりが魅力です。

基本的に硬質で表面がツルツルしているもの全般に使えますが、原理としては研磨して汚れを落としているため、メラミンよりも柔らかい材質のものに使うと表面に微細な傷が無数につくことになります。
ツヤ出し加工や樹脂コーティングされているもの、アクリル板(水槽など)をはじめとしたプラスチック製品、曇り止めコーティングされている鏡などへの使用は避けましょう。

1-4.箒(ほうき)

ほうき

休みの日にまとめて掃除するだけでは少し足りないと感じる共働き世帯におすすめなのが箒(ほうき)。
掃除機とは異なり音の出ない箒なら夜間でも早朝でも気にせず使えます。

特に畳やフローリングの部屋が多い間取りなら、サッと使えて小回りのきく箒が大活躍することでしょう。
どんなコンパクトな掃除機よりもずっと軽くて扱いやすい箒は、近年その利便性から見直され始めている掃除道具でもあります。

2.洗剤の基本

流し台の掃除

使用場所別、形状別、用途別に細かく分かれる洗剤の数々。何をどう揃えればよいのか迷ってしまいますが、「性質別の4分類+α」の考え方で洗剤選びが楽になります。

2-1.【分類その1】アルカリ性

「しつこい油汚れ」を落とします。
コンロや換気扇などについたギトギトの油汚れ、手垢や皮脂の汚れといったしつこい酸性の汚れを分解して落とします。
ひどい油汚れや焦げつきも落とすと謳われている台所用洗剤が代表格。
手肌への刺激が強いので、ゴム手袋をするなどして使用しましょう。

2-2.【分類その2】弱アルカリ性

「軽めの油汚れ全般」を落とします。
簡単にいえばアルカリ性と中性の中間。アルカリ性ほど強力ではないものの、中性よりも酸性の汚れをよく落とします。手肌への刺激もアルカリ性より少なめ。
頑固な汚れも落とすと謳っている洗濯用洗剤や、油汚れに対する強さが売りの食器用洗剤は、弱アルカリ性である場合が多いです。

2-3.【分類その3】中性

「あらゆる種類の汚れ」をマイルドに落とします。
強力な洗浄力はありませんが、素材や手肌を傷めるリスクも少ないため、軽い汚れ全般に幅広く使えます。
代表的なものとしては、皮膚に触れることの多い食器用洗剤やお風呂用洗剤、デリケートな生地にも対応するおしゃれ着用洗剤などがあります。

2-4.【分類その4】酸性

「固まった頑固な汚れ」を落とします。
水垢も尿はねも石けんカスも、がっちりと固まる前なら簡単に落とせますが、固まってしまうと苦労することに。こういった汚れはアルカリ性ですので、逆の性質を持つ酸性の洗剤で分解し落とすことができます。
便器内にこびりついた尿石を落とす強力なトイレ用洗剤が酸性洗剤の代表格です。

2-5.漂白剤

真っ白に洗い上げ、強力に殺菌します。
漂白剤は、性質としてはアルカリ性~弱アルカリ性に分類されます。

家庭で一般的に使われる漂白剤には塩素系と酸素系の2種類があり、とりわけ強力なのが塩素系です。
色柄物まで白く色抜けさせてしまうほどの漂白力だけでなく、高い殺菌力も備えるので、カビ取り洗剤としても使われています。

ただし、刺激も非常に強いため、使用時にはゴム手袋などの利用はもちろん、気分が悪くならないよう換気にも気を配る必要があります。
そして厳禁なのが酸性洗剤と混ぜること。化学反応を起こし有毒な塩素ガスが発生して大変危険です。

一方、酸素系漂白剤は弱アルカリ性で色柄物にも使え、塩素系漂白剤ほど素材にダメージを与えません。
洗濯用洗剤として使われることが大半でしたが、近年では広く住まい全体の掃除にも使われるようになってきています。

2-6.エコタイプ

環境にやさしく、安心して使えます。
エコで安全、比較的廉価、多用使いが可能といった点が人気を得て、重曹やクエン酸などを洗剤代わりに使用することが一般的となりました。
性質としては次のように分類されますので、上記の酸性・アルカリ性洗剤に関する記述を参考にして使い分けましょう。
重曹、セスキ炭酸ソーダ →弱アルカリ性
クエン酸 →酸性

3.手順の基本

同じ掃除をするなら効率よくしたいもの。合理的な手順で「掃除の最短距離」を目指しましょう。

3-1.基本は上から下へ

せっかく床掃除をしてもその後に棚の上などを掃除すれば、ホコリが落ちて床を汚してしまいます。逆に、先に棚の上などを掃除しておけば、その際に落ちたホコリは後で床掃除を行なうのですから気になりません。
二度手間を避けるため、空間全体を掃除する際は「上から下へ」の順で掃除していきましょう。

3-2.ときには「下から上へ」も

前述のとおり基本的に掃除は「上から下へ」の順ですが、例外もあります。
たとえば、油でべったりと汚れたガスコンロまわりの壁面を台所用クリーナーを使って拭き上げる場合、黄色っぽくなるほど水垢で汚れた浴槽をクレンザーで掃除する場合などです。

こういったケースでは強力な洗剤が使われることが多いこともあり、洗剤が液だれするとその部分だけ筋状に汚れが落ちます。
汚れが落ちること自体はよいのですが、汚れが落ちた箇所と落ちていない箇所とがまだらになった面を均一にきれいにするのは難しく、せっかくきれいにしても薄っすらと筋が残るという残念なことに……。

ひどく汚れた面を液状の洗剤を使って掃除する場合は「下から上へ」の手順で。

3-3.奥から手前へ

掃除をする際に忘れてはならないのは、掃除をしている自分自身の存在です。
特に床のワックスがけでは、うっかり部屋の入口から奥方向へと塗り進めていくと最後になって「ワックスが乾くまで部屋から出られない」ということになりますので要注意です。

3-4.軽い汚れから手強い汚れへ

1枚の雑巾や使い捨てのお掃除シートで広い面積を掃除しようとする際などは特に、まず軽い汚れから取りかかるようにしましょう。汚れのひどい箇所から真っ先に掃除してしまうと、雑巾やシートをすぐに洗ったり交換したりしなくてはいけなくなります。

4.まとめ

掃除の基本は決して難しいことではなく、むしろほとんどがよく知られている内容ですが、実際の掃除のしかたを振り返ってみると意外と基本を守れていなかったこともあったのではないでしょうか。
掃除が苦手なら少しでも楽に手早く終わらせたいですし、嫌いではないという人でも浮いた時間を他の場所の掃除にまわせれば嬉しいですよね。
基本を守った掃除ができているかを一度チェックして、時短へとつなげましょう。